尊厳死宣言(リビング・ウィル)とは、個人が意識の正常な間に自ら尊厳死を選択する宣言のことです。
尊厳死とは、回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控えまたは中止し、人間としての尊厳を保たせつつ死を迎えさせることです。
尊厳死宣言は、「自己の人生の在り方は自ら決定することができる」という自己決定権に基づくものです。ここで宣言すべき内容は、@延命措置の停止、A苦痛を和らげる措置は最大限に利用、B植物状態での生命維持装置の停止の3点です。
尊厳死宣言が患者の自己決定権に基づくものとして尊重されるべきであるのは当然ですが、最終的な延命措置の中止は医師の裁量に委ねられており、尊厳死宣言があるからといって必ずしも尊厳死が実現されるとは限りません。しかし、近年、尊厳死宣言を提示したケースの95%以上が医師に受け入れられており、医療現場においても大勢として尊厳死を容認しているようです。
なお、尊厳死宣言は生存中の延命治療の差控えや中止の希望を内容とするものであるのに対して、遺言は遺言者の死亡によって効力が生じるものであり、両者はその性質を異にするため、遺言で尊厳死宣言に関する記載をすることは相当ではありません。
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日本尊厳死協会